それに炎天下の中、本来なら熱中症対策で外出は控えた方がいいと言われている。

 だから、小まめに休憩が取れるようにいくつか入れそうなお店の目星はつけて来た。


「この場所からは、昔よく遊んだ公園が一番近いかな」

「うん!」


 昨日の夜遅くまで考えた末、最初に巡る場所として近場の公園、幼稚園、スーパー、小学校、中学校を選んだ。

 何も特別な場所ではないけれど、兄ちゃんの存在以外何一つ覚えていない花穂には、何の変哲もない日常の空間に触れてもらった方がいいのかなと思ったからだ。

 今は夏休みだ。花穂の身体のこともあるし、無理ないペースでまわればいい。


 歩いてすぐ、小さい頃にお世話になった、昔花穂と出会った公園に着いた。

 滑り台、ブランコ、ジャングルジムと小さい砂場があるこじんまりとした公園だ。

 午前中とはいえ、すでに空気は暑い。

 そのせいもあってなのだろう。公園には一人の人影もなかった。


 懐かしい。

 通りすがりで外からはよく見ていたけれど、こうやって中に入るのは、何年ぶりだろう?


「僕たちが小さい頃、ここで花穂と出会ったんだよ」