花穂は予定通り、八月の頭に退院した。
花穂が目を覚ましてから約一週間。花穂の努力もあり、自力で動き回れる程度まで彼女の身体機能は回復している。
そうして残りの夏休み、僕は柏木涼太として花穂に会い、僕たちの思い出の場所をまわることになった。
花穂の言う、記憶探しの旅だ。
花穂はこの辺の地理も少しあやふやになってしまっているようだ。だから徒歩三分の花穂の家まで、僕が迎えに行くことにした。
「リョウちゃん、おはよう!」
夏らしい向日葵の花がいくつも描かれた白いワンピースを着た花穂が、玄関から飛び出してくる。
頭に乗った、つばの大きい麦わら帽子。肩の下まで伸びた長い髪は、花穂の動きに合わせて揺れている。
可愛い……。
相手が付き合っていた幼馴染みということになっているからだろうか。見慣れないよそ行きの格好の花穂の姿に、思わず心臓がドキンと跳ねた。
「おはよう。じゃあ行こっか」
僕はそんな自分の内側に気づかないフリをして、花穂と横に並んで歩き始める。
今日は、まずは昔から馴染みのある僕たちの町を歩いて回ることにした。
とはいえ、きっとまだ全快ではない花穂に、あまり無理はさせられない。
花穂が目を覚ましてから約一週間。花穂の努力もあり、自力で動き回れる程度まで彼女の身体機能は回復している。
そうして残りの夏休み、僕は柏木涼太として花穂に会い、僕たちの思い出の場所をまわることになった。
花穂の言う、記憶探しの旅だ。
花穂はこの辺の地理も少しあやふやになってしまっているようだ。だから徒歩三分の花穂の家まで、僕が迎えに行くことにした。
「リョウちゃん、おはよう!」
夏らしい向日葵の花がいくつも描かれた白いワンピースを着た花穂が、玄関から飛び出してくる。
頭に乗った、つばの大きい麦わら帽子。肩の下まで伸びた長い髪は、花穂の動きに合わせて揺れている。
可愛い……。
相手が付き合っていた幼馴染みということになっているからだろうか。見慣れないよそ行きの格好の花穂の姿に、思わず心臓がドキンと跳ねた。
「おはよう。じゃあ行こっか」
僕はそんな自分の内側に気づかないフリをして、花穂と横に並んで歩き始める。
今日は、まずは昔から馴染みのある僕たちの町を歩いて回ることにした。
とはいえ、きっとまだ全快ではない花穂に、あまり無理はさせられない。