花穂ちゃんが記憶を取り戻して三日後。
新学期を明後日に控えた今日、兄ちゃんの四十九日の法事が執り行われた。
法事の席には、僕の親族に混ざって花穂ちゃんの姿もあった。
兄ちゃんが亡くなった事故のあと、花穂ちゃんは何日も意識がなかったことから兄ちゃんの通夜にも葬式にも出られなかった。
花穂ちゃんはせめて四十九日の法事には参加したいと言って来てくれたのだ。
この三日間、記憶探しの旅をする必要のなくなった僕らは以前のように外を出歩くことはなく、連絡自体も、法事のことについてやり取りをする程度にしか取っていなかった。
というより、今の僕にはそれが精一杯だった。
僕自身、記憶を取り戻した花穂ちゃんと、どう接していいのかわからなかったから。
夏休み中、ああするしか方法が思いつかなかったとはいえ、花穂ちゃんに嘘を重ねていたことに変わりなくて、そのことによる後ろめたさも大きかったんだと思う。
覚悟はしていたけれど花穂ちゃんとの距離が明らかに開いてしまっているように感じるのは、きっと気のせいではないと思う。
「……今日は来てくれてありがとう」
法事が終わり、幾分の後ろめたさを感じながら、親戚の人の中に見える花穂ちゃんに声をかける。
新学期を明後日に控えた今日、兄ちゃんの四十九日の法事が執り行われた。
法事の席には、僕の親族に混ざって花穂ちゃんの姿もあった。
兄ちゃんが亡くなった事故のあと、花穂ちゃんは何日も意識がなかったことから兄ちゃんの通夜にも葬式にも出られなかった。
花穂ちゃんはせめて四十九日の法事には参加したいと言って来てくれたのだ。
この三日間、記憶探しの旅をする必要のなくなった僕らは以前のように外を出歩くことはなく、連絡自体も、法事のことについてやり取りをする程度にしか取っていなかった。
というより、今の僕にはそれが精一杯だった。
僕自身、記憶を取り戻した花穂ちゃんと、どう接していいのかわからなかったから。
夏休み中、ああするしか方法が思いつかなかったとはいえ、花穂ちゃんに嘘を重ねていたことに変わりなくて、そのことによる後ろめたさも大きかったんだと思う。
覚悟はしていたけれど花穂ちゃんとの距離が明らかに開いてしまっているように感じるのは、きっと気のせいではないと思う。
「……今日は来てくれてありがとう」
法事が終わり、幾分の後ろめたさを感じながら、親戚の人の中に見える花穂ちゃんに声をかける。