「はい、ありがとうございます」

「梶原さんって、夏休み前に事故に遭ってからずっと入院してたのよね」

 保健の先生によって突然切り出された話題に、私だけでなくショウちゃんまでもが大袈裟なくらいに反応する。


「はい……」

「辛かったね……。でも、またこうして学校に来られるようになって良かったわ。もし事故のことを思い出して、辛くてたまらないときは、気軽に相談してね。梶原さんは、一人じゃないんだから」

「ありがとうございます」


 リョウちゃんの姿をしたショウちゃんも、言ってくれてた。

 夢の中で会ったリョウちゃんも。

 私は一人じゃないって。

 心配そうな眼差しでこちらを見る先生を見ていると、ここにも私を支えてくれる人はいたんだと思えた。


 こんな感じで保健の先生と話している間に時間が過ぎ、私のお母さんが少し慌てた様子で保健室に入ってくる。

 お母さんに私の記憶が戻ったことを話すと、お母さんはものすごく喜んで、ショウちゃんにもお礼を言っていた。


 ショウちゃんもお母さんの運転する車に乗って帰ることになった。

 けど、お母さんはショウちゃんの家の前でショウちゃんを降ろしちゃうし、結局これ以上二人でゆっくり話す時間は取れなかった。


 私が全てを思い出したあとのショウちゃんは、私に対してどことなくよそよそしい感じになってしまった。

 そんな風に見えるのは、私の気のせいじゃないと思う。

 ショウちゃんはリョウちゃんのフリをしてたから、私と恋人の距離にいてくれただけで、本来の距離に戻っただけなのだろう。

 だけど、私はそれがすごく寂しく思えた。

 こんなの、私の勝手なのかもしれないけれど。