リョウちゃんが命にかえて守った私が、リョウちゃんの死を受け入れられずに、現実から目を背けてしまっていたからなんだ。


 リョウちゃんは死んでない。今も生きていると思い込んだ結果、私はショウちゃんのことが見えなくなった。

 ショウちゃんだって、私の大切な弟のような存在だったのに。

 たくさん甘えて、無理させてしまった。

 それなのに、記憶をなくしてしまった私のそばに、いつでもずっと居てくれた。


 リョウちゃん、ショウちゃん、ごめんね。

 私、もっと強くなるから。だから……。


 目の前が、白い光に包まれる。

 あまりの眩しさに耐えられなくなったとき、私の意識はそこで途絶えた。

 *

 目を開けると、白い空間に居るように思った。

 たけど、今度はさっきまで見ていたような非現実的な空間ではなく、それは白い天井だということがわかった。


「花穂……っ! 良かった」

 すぐそばには、リョウちゃんの姿があった。


「あれ? 私……」

「ああ、花穂は途中で眠っちゃったんだよ。僕たちは、花穂の誕生日パーティーのあと、学校に来てたんだ」

 まるで用意していたセリフを言うように、リョウちゃんはざっくりと説明してくれる。


 そっか、私、また倒れたんだ……。

 天文学部の合宿で倒れたときにはかなり動揺していたのに対して、最近のリョウちゃんはこんな風に取り繕ってくれる。