「花穂にはみんながいるだろ? お父さん、お母さん、友達や将太だっている」

「そうだけど、やっぱり寂しいよ」


 リョウちゃんが大好きで、特別で、代わりになるものなんてない。


「花穂、目が覚めてから今日まで寂しかった?」

「……え?」

「僕は花穂のそばにはいられなかった。だけど、そんな花穂が悲しみの渦に落ちてしまわないように、ずっとそばに居てくれた人がいるんじゃない?」


 ショウちゃん……。

 今ならわかる。ずっと私の隣でリョウちゃんの姿で一緒に居てくれたのは、ショウちゃんだったんだって。

 きっとそれは、私がショウちゃんのことを思い出せずに、ショウちゃんのことを見て、リョウちゃんって言っちゃったからだ。

 他の誰も思い出せなかったのに、リョウちゃんの名前だけ私の口から出たのを聞いて、きっとショウちゃんは違うって言えなかったんだよね。

 そこを否定されたら、きっと私は知らない人だらけの孤独の世界にぽつんと取り残されるようになってしまうから。

 きっと、ショウちゃんの優しさだったんだ。


「でもそれは、リョウちゃんだって思い込んでいたからで……」