私が、お祭りに誘ったから──。


 息が苦しい。心臓がいやな音を立てる。

 リョウちゃんのそばに行かなきゃと思うのに身体は動かなかった。

 次第に頭痛や吐き気が激しくなって、私の意識はそこで途絶えてしまった。

 そして次に意識を取り戻したときには、私は全ての記憶をなくして病院のベッドの上にいたんだ。


「……ごめんなさい。私のせいで、リョウちゃんが……。私、リョウちゃんさえいてくれたら、何も要らないのに……」

「……思い出したんだね。でも、花穂は悪くない」

「でも……っ!」

「聞いて、花穂」


 リョウちゃんは私の言葉をやんわりと遮ると、私の両肩に手を添える。

 私の肩に確かに触れているリョウちゃんの手の感触は、感じられなかった。


「僕は花穂を守りたかったんだ。本当に好きだったから。だけど、そのことで花穂を苦しめてしまったことは本当に悪かったと思ってる」

「そんな……、何でリョウちゃんが謝るの……」


 これじゃあ、私のことを命をかけて守ってくれたリョウちゃんを責めているみたいだ。

 そうじゃないのに……。


「でもね、花穂は僕が花穂を一人置いて死んでしまったと思ってるかもしれない」

「うん。リョウちゃんがいないと、私……」

「それは違うよ、花穂」

「なんで……っ!」