「放送部主催ビデオレター企画。略してVL企画にご参加くださり、ありがとうございます。そしてこの度は、梶原さん、お誕生日おめでとうございます」
「あ、はい。ありがとう、ございます……」
花穂は驚きながらも照れ臭そうに返す。
「今日は、柏木くんから梶原さんへのサプライズプレゼントをご用意しております。では、どうぞそちらにお掛けください」
ビデオレター企画。
兄ちゃんから花穂へのサプライズプレゼント。
兄ちゃんから花穂への最後のバースデープレゼント……。
頭の中で今の状況を整理しながら、僕は花穂と再度促されたスクリーンの前のパイプ椅子に腰掛ける。
そして、花穂とは反対側の僕の隣の空いた席には、園田先輩が座った。
視聴覚室の照明が落とされ、スクリーンに照れ笑いを浮かべる兄ちゃんが大きく映し出される。
きっと兄ちゃんが亡くなる前に撮られた、唯一の動画なのだろう。
今の僕は兄ちゃんと全く同じ姿をしてるはずなのに、僕とは違って凛とした風貌を感じられる。
それは、懸命に兄ちゃんになろうとした僕との差を浮き彫りにされているように思えた。
『花穂』
スクリーンに映る兄ちゃんが、花穂に呼びかける。
僕の知ってる兄ちゃんのはずなのに、そんな風に甘い声で彼女を呼ぶ兄ちゃんは、僕の知らない人のようだった。
「あ、はい。ありがとう、ございます……」
花穂は驚きながらも照れ臭そうに返す。
「今日は、柏木くんから梶原さんへのサプライズプレゼントをご用意しております。では、どうぞそちらにお掛けください」
ビデオレター企画。
兄ちゃんから花穂へのサプライズプレゼント。
兄ちゃんから花穂への最後のバースデープレゼント……。
頭の中で今の状況を整理しながら、僕は花穂と再度促されたスクリーンの前のパイプ椅子に腰掛ける。
そして、花穂とは反対側の僕の隣の空いた席には、園田先輩が座った。
視聴覚室の照明が落とされ、スクリーンに照れ笑いを浮かべる兄ちゃんが大きく映し出される。
きっと兄ちゃんが亡くなる前に撮られた、唯一の動画なのだろう。
今の僕は兄ちゃんと全く同じ姿をしてるはずなのに、僕とは違って凛とした風貌を感じられる。
それは、懸命に兄ちゃんになろうとした僕との差を浮き彫りにされているように思えた。
『花穂』
スクリーンに映る兄ちゃんが、花穂に呼びかける。
僕の知ってる兄ちゃんのはずなのに、そんな風に甘い声で彼女を呼ぶ兄ちゃんは、僕の知らない人のようだった。