花穂に渡したのは、タオルアートと呼ばれるものだ。

 自分では作れないから、上手くできた市販品を購入したけれど、なかなか面白いプレゼントだと思ったんだ。

 可愛いけれど、あっと驚くような仕掛けがあるものが、僕は好きだ。

 渡した相手の反応を二度も楽しむことがてきるのだから。


「うん。クマのぬいぐるみとして飾ってもいいし、飽きたらここをほどいて一度洗濯したらハンドタオルとしても使えるんだ」


 ハンドタオルの方も、クマの刺繍のついた大人っぽいデザインだ。

 だから、花穂がクマのぬいぐるみに興味がなくなった頃使うにはちょうどいいデザインだと思った。


「ありがとう。何だか意外。リョウちゃんって、何となくこういうのには興味なさそうな気がしてたから」

「そう?」

「うん。……何て言うか、リョウちゃんって、タオルなら普通のタオルを選びそうなイメージがあったから」


 花穂の言いたいことは、かなり言葉足らずな気がするが、わからなくはない。

 兄ちゃんは何でも完璧な優等生な一方で、遊び心は僕の方が上だった。

 だから兄ちゃんなら同じ予算で同じ物を選ぶなら、デザインよりも質で選んだだろう。


「もしかして、もっと上質なタオルの方が良かった?」