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 次の日。リョウちゃんと行った高校で、私はクラスメイト全員の名前を教えてもらえることになった。

 部活動の顧問で学校に出てきていた先生の中に、私の担任の先生がいたのだ。

 担任の先生は、五十代くらいの眼鏡をかけた細身の男性の先生だった。

 事前にリョウちゃんは学校側に電話をして問い合わせていてくれたらしく、先生は丁寧に写真に並ぶ順番に生徒の名前を書いて、それぞれの特徴をかいつまんで話してくれた。

 写真の中には、私と親しくしてくれていたという女子生徒も二人いたそうだ。

 私が事故に巻き込まれたことはクラスメイトは知っているけれど、記憶が消えてしまっていることはまだ誰も知らないらしい。

 だから、もしサポートが必要ならばいつでも相談してほしいと先生にも言ってもらえて、心強かった。


「とりあえず良かったな」

「うん、リョウちゃんもありがとう。もしこのまま何も思い出せないまま九月になっても、とりあえずクラスメイトの顔と名前くらいはわかるようにできるし」


 さすがに今日一日で全員分を覚えることは難しいけど、せめて私と親しくしてくれていた人や席が近くの人のことくらいは頭に入れておきたい。


「じゃあ、今日は帰るか」

「そうだね」