元々私は物を溜め込まないタイプだったのか、私の部屋はあまり物であふれていない。

 部屋にあるものは、ベッドと学校の教科書が置いてある勉強机と、自分が読んでいたのであろう本が立った本棚だけだ。

 昔のことを思い出すのにアルバムでもあればと本棚を物色したこともあったけど、どういうわけか私は昔の写真はほとんど持っていないようだった。

 持っていると言えば、高校のクラス写真だとお母さんに教えてもらった集合写真くらいだ。

 私は机の上に置いてあった今年のクラス写真を手に取って、リョウちゃんに差し出した。


「もうあと一週間もしないうちに学校が始まるからさ。それまでにクラスメイトの顔と名前を一致させたいから、リョウちゃんの知ってる人がいれば名前と、もし私が仲良くしてた友達がわかれば教えてほしいの」

「……え?」


 リョウちゃんは私の写真を受け取ると、困ったようにまゆを寄せて写真に視線を落とす。

 私とリョウちゃんはクラスが違ったらしいから、もしかしたらリョウちゃんもわからないのかもしれない。


「もしかして、リョウちゃんも知らない子ばかりかな」

「いや……、そんなはずはないと思うんだけど……」


 だけど、う~んと唸るわりには誰一人として名前を出さないリョウちゃん。

 これ、やっぱり本当にわからないんだよね?