僕の都合に合わせて、園田先輩と会っていたのは僕や花穂の地元だった。

 園田先輩はここまで自転車で来れる距離らしい。

 ほとんど園田先輩が決めてしまったこととはいえ、実際それで助かったのは事実だ。

 家まで走ったはいいものの、この酷暑の中汗だくになってしまった僕が着替えることを余儀なくされたのは言うまでもなく、軽くシャワーを浴びて着替えてなんていたら花穂との待ち合わせ時間ギリギリになってしまったというのだから。


 花穂と合流すると、僕たちは最寄りの駅から海に向かう電車に乗る。

 電車に乗って揺られること約一時間半。

 お昼過ぎに園田先輩と別れて花穂と合流して、本日の目的地に着いたのはようやく日が西に傾いてきた午後四時を少し回ったところだった。


 花穂が行きたいと言っていた、兄ちゃんとのデートで行ったことのある場所の二つ目だ。

 そもそも、花穂と兄ちゃんがデートしたのはこの前の水族館と今しがた降り立ったこの海だけだから、たった二つの場所で制覇ということになるのだが。


 水族館に行った日から少し日を空けたのは、また兄ちゃんとのデートを再現することで花穂が何かを感じたり思い出したりして、倒れてしまうかもしれないと懸念したからだ。