何より、花穂がそのVとLのロゴを持つブランドのものを持っているのを、僕は長い付き合いの中で見たことがなかった。

 それなのに、わざわざ兄ちゃんがそのブランドを指定してプレゼントを考える理由が見当たらない。

 

 そうしているうちに、刻々と、花穂との約束の時間に迫っている。

 これ以上長居できないだけに、焦りが募る。


「じゃあまたそのことについては、悩むようなら改めて連絡ちょうだい? 俺もちょっと知り合いに当たってみるわ」


 そんな僕を見て、気を利かせてくれたのだろう。

 園田先輩はそう言って、僕に店を出るように促した。

 ここは園田先輩のお言葉に甘えて、僕は花穂のことを迎えに行くことにしたのだった。