「俺だってまだ涼太がいない日常に慣れてないのにな、お前は本当に梶原さんのためによくやってると思う」
でもな、と園田先輩は言葉を続ける。
「でもさっきも言ったけどさ、いつまでも涼太のフリをし続けるのはあまりに非現実的だ。だからキツいこと言うかもしれないけど、お前だっていつまでも涼太の存在に頼らずに、お前自身で梶原さんを救う方法を考えろ」
「僕自身で、ですか……?」
そんなこと……。
だって、僕は見た目くらいしか兄ちゃんに似ていない。
勉強も運動もできて、みんなからの信頼の厚かった兄ちゃんとは違う。
それなのに、園田先輩は俺の目を真っ直ぐに見てこう言うんだ。
「そうだ。お前ならできると思う」
僕は、園田先輩に何も返せなかった。
「そろそろ時間だな」
そんな僕を置いて、園田先輩はスマホの画面を点灯させる。
何だか僕だけ今という場所に切り取られてしまったように感じるのに、時間は待ってはくれない。
「今日はわざわざ出てきていただいて、ありがとうございました」
「いいよ。俺も二人のこと気になってたからさ。おせっかいだったならごめんな」
「とんでもないです。あ……」
そのとき、不意に兄ちゃんの生徒手帳の花穂の誕生日にVLと書かれていたことを思い出す。
でもな、と園田先輩は言葉を続ける。
「でもさっきも言ったけどさ、いつまでも涼太のフリをし続けるのはあまりに非現実的だ。だからキツいこと言うかもしれないけど、お前だっていつまでも涼太の存在に頼らずに、お前自身で梶原さんを救う方法を考えろ」
「僕自身で、ですか……?」
そんなこと……。
だって、僕は見た目くらいしか兄ちゃんに似ていない。
勉強も運動もできて、みんなからの信頼の厚かった兄ちゃんとは違う。
それなのに、園田先輩は俺の目を真っ直ぐに見てこう言うんだ。
「そうだ。お前ならできると思う」
僕は、園田先輩に何も返せなかった。
「そろそろ時間だな」
そんな僕を置いて、園田先輩はスマホの画面を点灯させる。
何だか僕だけ今という場所に切り取られてしまったように感じるのに、時間は待ってはくれない。
「今日はわざわざ出てきていただいて、ありがとうございました」
「いいよ。俺も二人のこと気になってたからさ。おせっかいだったならごめんな」
「とんでもないです。あ……」
そのとき、不意に兄ちゃんの生徒手帳の花穂の誕生日にVLと書かれていたことを思い出す。