つまり、あのとき確かに花穂は兄ちゃんのことを微かにでも思い出していて、さらに思い出そうとして倒れた──ということなのだろうか。
「何となくだけど、梶原さんは思い出せないだけで、本当は涼太のことを忘れてねぇような気がする」
「花穂は、本当は兄ちゃんのことを覚えてる?」
「真相心理では、な。一種の自己防衛ってことなんだろうな。本当は忘れてなんかないけど、あまりに想定外の辛い現実が起こって、自分を守るために無意識のうちに思い出せないようにしているんじゃないかと思う」
「そんなことってあるのですか?」
「さぁな。そこまで知らねぇけど、現状梶原さんの場合、そうなんじゃねぇの?」
辛い現実からの自己防衛。現実逃避。
花穂がそうしてしまう理由には、心当たりがありすぎる。
その中でも一番は、恋人だった兄ちゃんの死なのだろう。
「……じゃあ、また兄ちゃんのことを思い出しそうになったら、花穂は自己防衛反応で倒れて記憶が消えてしまうかもしれないってことですよね」
「可能性は否定できないと思う」
現状からの推測しかできないが、園田先輩の言う通りのような気がする。
でも、それじゃあどうしろっていうんだろう。
兄ちゃんや家族との思い出を思い出したいという花穂の思いから記憶探しの旅を始めた。
「何となくだけど、梶原さんは思い出せないだけで、本当は涼太のことを忘れてねぇような気がする」
「花穂は、本当は兄ちゃんのことを覚えてる?」
「真相心理では、な。一種の自己防衛ってことなんだろうな。本当は忘れてなんかないけど、あまりに想定外の辛い現実が起こって、自分を守るために無意識のうちに思い出せないようにしているんじゃないかと思う」
「そんなことってあるのですか?」
「さぁな。そこまで知らねぇけど、現状梶原さんの場合、そうなんじゃねぇの?」
辛い現実からの自己防衛。現実逃避。
花穂がそうしてしまう理由には、心当たりがありすぎる。
その中でも一番は、恋人だった兄ちゃんの死なのだろう。
「……じゃあ、また兄ちゃんのことを思い出しそうになったら、花穂は自己防衛反応で倒れて記憶が消えてしまうかもしれないってことですよね」
「可能性は否定できないと思う」
現状からの推測しかできないが、園田先輩の言う通りのような気がする。
でも、それじゃあどうしろっていうんだろう。
兄ちゃんや家族との思い出を思い出したいという花穂の思いから記憶探しの旅を始めた。