如月さんは裕翔くんが大好きで、いっつも一緒にいる人達を目の敵にしていた。
それだけで終わればよかったんだけど、如月さんはクラスでも有力者。それをを自分の邪魔者とみなして、色んないじめを始めた。

それこそ王道な無視とか、上履きを隠したり、とか、そんなレベルではあったけど、やられている側としては迷惑極まりない話。辞めてもらおうと先生に相談した。だけど、

「あー、この件は、だな。本人も反省してるみたいだし、これ以上大事にするのはやめよう。」
先生の曖昧な対応のせいで、いじめこそ止まったものの謝罪も何もなし。如月さんも何事も無かったようにしている。

だから如月さんがまたいじめのことを持ち出したのは意外だった。、しかも自分から。だけどそれは、もう脅しにならない。

「その心配はないよ。前にやられたことと、あなたがやったって言う証拠は全部揃ってる。あれを元に訴えたらどうなると思う?どれだけ優秀な弁護士を雇ったとしても、」
私はそこで一呼吸つき、にっこりと笑顔を浮かべた。

「あなたに勝ち目はないよ?如月さん。」
あのいじめを盾に、そして鉾にできるのはむしろこちらの方。その証拠に如月さんは、いまいましげにこちらを見つめながら来た方向に引き返していった。