窓を開けると白いレースのカーテンがなびき、クラブ活動で汗を流す運動部の声が響いた。
隣に席に置いた鞄から教科書とノート、筆記用具を取り出して自らも受験勉強に取りかかる。
詩と離れたくないからと受験を迷った時期もあった。
大学進学を決めたのは村の住人の期待に応えたい。
そして、勉強したことを生まれ故郷の役に立てたいという気持ちがあったから。
なにより、世界で一番大切な女の子が自分のことを応援してくれているからに他ならなかった。
律は鞄に付けていたお守りを外して、机の片隅に置く。
そして、徐(おもむろ)にそのお守りに触れた。
律が勉強を始めて一時間半が過ぎた頃、補習を終えたばかりの詩が図書室にやってきた。
窓際の奥に彼の姿を見つけると、嬉しそうにそばに傍に寄る。