「嘘だって。俺には守り神がついてるから心配ない」
「それ……」
「鷹之さんから受け取った。あの日の朝、このお守りを鷹之さんのところに受け取りにいこうとしてたんじゃないか?」
「うん……」

詩はベッドに横たわったまま、目で頷いてみせた。
こんなに自分の事を考えてくれている幼なじみを前にして、律は彼女に対して自分がしてしまった数々を悔やんだ。
彼女の気持ちもロクに聞かず、自分が傷つきたくないばっかりだった。
律は心の内で密かに覚悟を決めた。

「詩……俺、やっぱり詩の事好きだ。“告白無かったことにさせて”とか言ったけど、俺には無理。ごめん、自分勝手で」

律はベッドの上で横になる詩の目を見て話す。
詩は予想もしてなかった再度告白に少々驚いた風だったが、あの時と同じように律の言葉を黙って聞いていた。

「返事は今じゃ無くていいから。今度はちゃんと聞くし……。それじゃ、俺も母さんとかに詩が意識戻った事話しに帰るわ」

律はそう伝えると、腰掛けていた丸椅子から立ち上がる。