「律……今日って何日?」
「九月二十四日」
「九……九月!」

詩は驚いて思わず身体を動かしたが、まだ本調子ではなく「痛たた……」と顔をしかめた。

「夏休み終わっちゃったのか……」
「ついでに、夏休み明けのテストもな」
「マジで……。今回こそ補習を逃れようと気合い入れてたのに……」
「残念だったな」
「ねぇ、退院したら補習勉強付き合ってよ――…ってダメか。律は大事な受験勉強があるもんね。ごめん、ごめん……今の忘れて」

詩は自分で出した依頼を律の返事も聞かずに自分自身で打ち消してしまう。
律はそんな他人行儀な彼女に「駄目なんて言ってないだろ」と少しムッとして言い返す。

「でもさ……」
「俺は誰とどこで勉強しようと関係ないから。勉強に飽きてすぐ遊び出す詩と違ってな」
「うわ、ムカつき発言……」

何十日ぶりになるこのやりとりと空気感。
二人は思わずプッと小さく吹き出した。
律は詩が彼の為を思って取り寄せたお守りをポケットから取り出す。