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考えてた。
古びた図書館で、出会ったあの少年を。

考えていた。

茶色の本。
埃まみれの、本に挟まった写真。

白い帽子、白いワンピース。
白い肌ーー。
すごく綺麗な人。

と、言うか可愛い人。

こんな人が、父を愛してくれた?
訳ないじゃん!!
だって、金持ちだよ?

こんな綺麗な人には、金持ちがあってる。

絶対、悲恋ーー。


そう、絶対。

だってーーー


なんの変哲もない、何もない何も持ってない父が、好かれる筈ないもの。


変わらない亡くなったままの、父の部屋。

変えたく無かった。
誰でもない父だった。