金待ちイコール敵だ。

彼が歩いてくる。
やばい、もしかして私ーー本気で怒らせた?

誰もいない私達だけの、空間。


後ずさった場所は、固い壁。

少し不安そうに見上げた私の頭に置かれた本。

「これ、君が持ってて」

なんだか、拍子抜け。
殴られるかもって思ったのに、、拍子抜け。

なんなの?


「また、明日も来る?」

全然、怒ってる素ぶりないな。
むしろ、笑ってる。



「毎日、、来てるけどっ」

こう答えるしかない。

「明日も来るからっ。
この席で、また会おうよ」

変な奴。

「後、俺はーー悲恋だなんて思わないよ。


きっと、彼女は逢いに行けない訳があったんじゃないかな。

とにかく、また明日ね!」


ホント、変な奴。


怒らないし、それどころか馬鹿にしないし、ホント、変な奴。