「それーーーーまさか、父が好きだった人ってーーあなたのお母さん?」


嘘ーー。


こんな偶然、ある?

もう一つの茶色の本が、何よりの"証拠"。


古びた同じ詩集。

開いた箇所を、目を細めて見た。


「今でも君を、愛してる」


やっぱり、同じ本だ。
だけどーーなら、何故。


「なんで、あんたがそれ届けるの?
本人にーー」

その先は言えなかった。

君が泣いているから。