きっとコイツにはわからない悩みだろう。
「飲まないの?
それともーー間接キスのがーー「いただきます!」


これ以上、キスキス言うなよ。

堪らなくなった私は、缶ジュースを開け飲んだ。

炭酸の味が、サッパリしていてちょうどいい。

本当にーーーー不思議な人。


私だけの秘密基地が、私だけのモノじゃなくなった。



父が過ごした図書館に、私はいる。

タイムスリップしたみたいな感覚。

「なんで、ここにいつも来るの?
私は、父が通い詰めた場所だからだけどーー。

あの日、初めて会った日。

何しに来たの?」

そこだけは、不思議だった。

街の図書館なら、綺麗な場所はたくさんあるのに。

こんな、古びた図書館に来るのは
私だけだと、思っていた。


「ーーーー、母さんが恋した相手に本を渡したかった」


カバンから取り出した本に、動揺は隠し切れない。


だってーー
私が持ってる本そのものだったから。