さっきまで、照れていたアイツは
今はーー真剣に私を見つめた。

離さない瞳。
離れない瞳が、私を射抜くーー。


なんか、喋ってよ。

なんで、何も言わないの?


「からかったの、怒ってる?
ごめん、謝るから離して!」

本当は、わかってる。
怒ってる感じじゃない。

君が私を見つめる瞳は、愛しいモノを見る様な目だからだ。

「違うよ。
怒ってないーーあのさ、俺達、付き合わない?」



はい?


今、なんて言いました?

まだ、すぐ近くにある顔は離れて行かない。


頭がついていかない。

「一回、離れようか。
持たないよ、心臓がーー」


心臓が悪い訳じゃない。

だけどーー
ドキドキがやばい。


「ーー心臓?
それって病的なヤツ?」



何、いきなり。
離れてくアイツ。
少し、ホッ、としたけど。


「え、違うよ。

そう言うんじゃない!!だから、顔が近いからーーっ」


顔が近いからドキドキして、心臓バクバクなんて言えない。