可哀想だから埃を払い、ハンカチを水に濡らし少しだけ拭いたけど、茶色の表紙は変わらないままだ。


きっと、生まれ持った色に違いない。

「詩集?
なんか、挟まってーーーー!!」


詩集に挟まった一枚の写真。

茶色に変色し始めた写真は、まるでーー
栞の様だった。


「お父さんーー?
なんで、これがーーっ」


詩集に挟まったままの、写真。


まぎれもない。
私の父だった。


"今でもーーーー"


ん?
良く見えない。

字が、滲んでよく見えない。