だけどーーーー

シトシトと降る6月の梅雨。

"ごめんね、お願いがあるのーー。
ママ、もうダメだから。

最後のお願い聞いてくれる?"。


ねえ、ママ。
最後なんて言わないで。
残された僕は、どうしたらいいの?

"あのねーーーーーー、お願いね"。


雨音の音が、うるさくて
ママの声、聞こえなかったーーなんて、嘘。
ちゃんと聞こえてた。


だけどさあ、聞こえないフリをした。

渡された茶色い何か。
震えた手。
僕はーーーー12歳になっていた。