いきなり、顔色が悪いからと言って、利樹は真生の手をつかんできた。
いや、何処も悪くない気が……。
今も友だちと笑い転げたばかりなのに、と真生は思っていた。
しかも、保健室、逆方向だしっ。
っていうか、二階にないし。
……三階にもないしっ?
などと思っている間に、どんどん利樹に上に連れて行かれ、屋上手前の階段踊り場まで来ていた。
「顔色が悪いようだ」
と利樹は真生の手をつかんだまま言ってくるが。
いや、顔色の悪い人間を今の勢いで引っ張って連れて上がるのはどうなんですか、と真生は思っていた。
だが、そこで手を離し、利樹は言う。
「いや、顔色が悪いのは俺だな」
と。