「でも、真生が生きていてくれて、ありがとうと言ってくれたんだ。

 悪いことばかりではなかった。

 私の作ったこの病院が、真生の命を助け、戦後、生きる気力をなくしかけていた百合子たちの生きがいとなり、たくさんの人々を救えた。

 この病院を作ったのは、真生に命じられたからだったが。

 私は私のすべてをかけて作ったこの病院とスタッフたちを誇りに思う」

 八咫……。

「お前も患者を救え」
と八咫はこちらを見て言ってきた。

「お前は、ずっと軍人ではなく、医者となって、人々を救いたかったんだろう?

 そして、お前の言葉ひとつで、救える人間がすぐ側に居ることを忘れるな――」