黄昏の光の中、夕日を背にした、すらりと手脚の長い真生のシルエットを見つめる。

 やってきた友だちとなにか話し、笑い始めた。

 可愛らしい生徒なら幾らも居るが、何故か真生だけが目につく。

 高校生らしからぬ影がその表情にあるせいかもしれないが。

 それは、彼女が人を殺したことがあるからなのか――。

 過去の世界での殺人は罪には問われないかもしれないが。

 真生や斗真の心に深く影を落としているのは確かだった。

 校舎の中は人が少なく、校庭が騒がしいせいか、あの、お前に殺されたの男が校舎側の側溝近くを這っているのを見た。

 人の気配を求めては彷徨う霊は、実は生きている人間より、人恋しいのかもしれないと思いながら見ていると、男が自分の足首をつかんできた。

「……お前に殺された……」
とお決まりのセリフを言ってくるので、男を見下ろし、

「……俺じゃねえだろ」
と言い、霊を振り払う。

 頭を踏みつけてやろうかと思った。

 真生に乱暴しようとした男の霊だと聞いているからだ。