「そうか、よかったじゃないか、解決したのなら」
と翌日、理事長室で八咫が言った。
「なにか機嫌が悪いな」
いや、別に、と利樹に言う八咫は素っ気ない。
「もしかして、真生のことか。
記憶はちょっと戻ったが、別にまだなにもしてないぞ」
「……そんな話じゃない。
お前、私を幾つだと思ってるんだ」
と言ったあとで、八咫は夕暮れの窓を見た。
そのまま、少し事件の話をする。
「そうだ。
二式野と一緒にジムに通うことになったんだ。
通ってみたかったが、なんだかためらわれて、今まで行けなかったらしいから」
「……あいつ、突き出さなくていいのか、警察に」
と八咫も真生と同じことを言ってきた。