「俺もお前の顔がずっと引っかかっていたんだ。

 そして、八咫が言った、吹っ飛んでもいい、という言葉が契機になって、ぼんやりだが、あのときのことを思い出した。

 八咫に調べてもらったら、お前は俺のところに来たとき、結婚して、子どもが生まれるところだったらしいよ。

 そんな状態で、来なくても思ったんだが。

 まあ……そういう時代だったからな」
と利樹は呟く。

「悪かった、と言っておこう。

 まあ、お前たちが来なけりゃ俺も死んでなかったかもしれないが。

 直接、爆弾のスイッチを入れたのは俺だからな」

 二式野は利樹を見上げ、小さく呟いた。

「なんでだろうな……。

 お前がなにを言っているのか、さっぱりわからないのに」

 涙が出る、と。