火をつけた紙の塊のようなものが斗真の家の庭木に向かって転がったが、誰かがその火を何度も踏んで消していた。
「斗真っ」
斗真がいつの間にか出て来ていた。
もしかしたら、斗真もずっと中から窺っていたのかもしれないと思う。
利樹に投げ飛ばされた男はアスファルトに両手をつき、放心状態になっている。
利樹は彼の前に立つと、立ち上がれないでいる男を見下ろし言った。
「……殺さなくていいんだ。
お前は俺を」
男がゆっくりと顔を上げ、真生は息を呑んだ。
それは自分も知る人物だったからだ。
「殺さなくていい。
俺もお前をもう殺さないから――」
「斗真っ」
斗真がいつの間にか出て来ていた。
もしかしたら、斗真もずっと中から窺っていたのかもしれないと思う。
利樹に投げ飛ばされた男はアスファルトに両手をつき、放心状態になっている。
利樹は彼の前に立つと、立ち上がれないでいる男を見下ろし言った。
「……殺さなくていいんだ。
お前は俺を」
男がゆっくりと顔を上げ、真生は息を呑んだ。
それは自分も知る人物だったからだ。
「殺さなくていい。
俺もお前をもう殺さないから――」