利樹は気にせず、続けて言った。

「思い出したよ。
 あの男、俺を殺す男だ」

 は? と八咫が見る。

「いや、違うな」
と利樹は言いかえた。

「……俺が殺す男だ」

「なんだそれは、予知か」
と八咫が問う。

「いいや、予知じゃない――」
と利樹は八咫の後ろの窓に広がる明るい空を見ながら呟いた。