「いや、そうじゃなくて。
 ちょっと病院に泊まりが続きそうなんで」

 火事でほとんどのものは焼けてしまったので、そもそも荷物らしい荷物はなかった。

 だから、ちょっと持ち出したら、それがほぼ全部の荷物になってしまうのは確かだった。

「そうなの?
 じゃあ、また戻ってくるのね」
と理絵は行ってくれたが、此処に戻るつもりはなかった。