「どうしたんだ? その荷物」

 朝、起きてきた斗真が問う。

「いや、長く世話になったなと思って」
と利樹は言った。

 今日、職場に行くときに荷物を持って出て、もう此処には戻らないつもりだった。

「ほら、見なさいよ。
 あんたがいろいろ利ちゃんに突っかかるから、利ちゃん出てっちゃうじゃないの」
と理絵がオロオロして言う。

「謝りなさいよ、斗真」
と茉莉花まで言い出し、

「なにをっ!?」
と斗真は言っていた。

 そりゃそうだろう。

 斗真はなにも関係ない。