「お前ーっ。
 勝手すんなら、出ていけよーっ。

 焼け落ちたアパートで寝ろっ」

 一週間前、放火があって、住んでいたアパートが燃えたのだ。

 幸い、死者は出なかったが、家を失い、斗真の家に厄介になっていた。

 どのみち、いい家かマンションが見つかるまで、一時的に入っていただけだったのだが。

 腰を据えて住居を探そうと思っていたのに予定が狂ってしまった。

「わかったわかった」
とスマホを置いた利樹は、さっきのアルバムのところに行き、最近の真生の写真を一枚剥がす。

「これをもらおう」

 それは、去年の学園祭のときの写真らしく、みんなと写っている真生は、屈託無く笑っていた。

 今までも、これからも、俺が見ることのない真生だ、と思う。

 俺が出会ったとき、もう真生は人を殺していたから――。