「もう飽きたのか。
 勝手な奴だな、相変わらず」
と溜息をつく斗真が言う『相変わらず』が、今の自分ではなく、高坂であった過去の自分のことを指しているような気がした。

「おい、お前、秘蔵の真生の写真はないのか」

「……な、ないっ」

「あるだろ」

「あるの?」
と理絵まで突っ込んで訊いている。

「ないよっ。
 俺が真生を撮ったことはないしっ。

 これは全部母さんが撮ったんだろっ!?」

「きっとスマホよ、利ちゃん」

 よし、と立ち上がると、
「莫迦、よせっ」
と斗真も立ち上がる。

 窓際のローボードに置いてあったスマホを撮ろうとすると、後ろから斗真が羽交い締めにしてくる。

 斗真は、スマホなんて、行事か部活の連絡用にしか使わないので、特にロックもかけてはいないようだった。