自分と同じく呑みに行っているらしい斗真の父はまだ帰っておらず、姉の茉莉花(まりか)は太るからと夜食は食べないので、三人でダイニングテーブルで食べた。

 斗真が言ってくる。

「お前は昔はそうでもなかったみたいなのに、全然、女に興味がないんだな」

 斗真の言う昔とは、利樹の昔ではなく、高坂のときのことのようだった。

「そうでもない」

 理絵が近所の人からもらったという美味しい白菜の漬物を出してきてくれる。

 そんな理絵の後ろの壁を見ながら、利樹は言った。

「俺は恋をしているようだ」

 ぶはっ、と斗真は一緒に食べようとしていた茶漬けを吹き出す。

「やだーっ。
 嘘っ、誰っ?」
と理絵が盛り上がる。