「どうしたの?2人とも」


ドアを開けて悠真が顔を出す。私と倉田は慌ててなんでもないように悠真の部屋に入った。


「にしても2人が知り合いだったなんてな。
あ、俺は湯澤君の担任の市川悠真です。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします」


初めて悠真の前で発した言葉だった。

なんとなくあさっての方向を見てごまかしていると、私の目にそれは映った。


――――昔、私が無理やり飾った、2人の写真…………それから指輪。


慌てて悠真を見ると、彼の左手薬指には2人で買った婚約指輪がはめられていた。

じゃあ、この指輪は……私の?


「それ、俺がつきあってた人だよ」


私が写真を見ていることに気づいたのか、少しだけ寂しそうなトーンで悠真が話す。


「この指輪……は?」

「うん。彼女が忘れてったものなんだ」