暖かい……って思ってたのに、隙間風だろうか顔が寒くなってきた。
「……」
目を開けると、白い天井が広がっていた。まぶしくない電灯があるが、今そこを照らす明かりがそれではないことに気づく。
なんとなくそこがどこなのか、私はわかっていた。
ゆっくりと上半身を起こしてみる。自分の体だが、少しだけ重いような気がする。
病室の中には誰もいなかった。ベッドの近くにはイスがあるだけだ。
私は点滴につながれていないことを確認してから病室を出た。
自分の体を確認しながら廊下を歩く。大丈夫。うん。今何時なんだろう……全然人がいない。
私はとりとめのないことを考えながら、別のことを考えないようにしていた。
気がついたらなんだかよくわからない廊下まで来ていた私は、誰かの足音に気づいて振り返った。