康樹君と協力して倉田を捜すが、彼はなかなか見つからなかった。家にも帰っていない、バイト先にも顔を出していない、駅やコンビニなど思いつく所はほとんど行ってみた。もちろん何度も事故現場にも行ってみた。

だけど、見つからなかった。


「思い当たる所他にないんですか!?」

「ないよ……ねぇ、ここって何なの?」


それは1番疑問に思うところだった。自分たちは事故ったはずだ。それなのに怪我の1つもしていないどころか、その話題すら出ていない。


嫌な予感がする。このまま倉田が見つからなかったら……




「――橙子さん……」


康樹君の声に気がついて、私は顔を上げる。康樹君は別の方向を見ていた。私もそれにならう。


「――っ!」


誰もいなかった。いや、誰もいなさすぎた。そこは駅前のはずだ。それなのに突然……誰もいなくなってしまった。


「なんで?」