あのとき、台所にいたときだ。私はなにげなく窓の外を見たら知っている緑色の服を着た人の姿が見つけた。


「あれ……倉田だ」


悠真に会いに来たのかと思ったが、様子を見てみてもなかなかその場から動こうとはしなかった。


少しだけ気になって外に出てみた。と、そのとき倉田よりも先に別のものが視界に入ってきた。


それは、鉄パイプを積んだトラックが道路の脇に停めてあった車を避けて走ろうとする。

しかし、停車中の車から犬と、そして犬を追うように少年が飛び出してきたのを見て、トラックは停車中の車にそのまま突っ込んでしまった。



キキィィィ

衝撃音と共に、荷台に載せてあった鉄パイプが崩れた。


「――っ!」


気がついたら、私は走り出していた。そのときのことはよく覚えていない。

はっきりと覚えていることは、緑色の服を着た人が目の前に現れたということだけだった。