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「倉田、今日はありがとうね」


今日はお礼を言ってばかりだと自分でも思いながら私は倉田に向かう。彼は興味なさげにただ煙草を吸っているだけだった。


「別に礼なんて言われることしてねぇぞ」

「うん……そうかもね」

「おい、どっちだよ」


その反応がいつもどおりでほっとした。もしかしたら倉田とこうやって話すのは最後になるかもしれない。

だから、ちゃんと言っておこうと思った。今まで言えなかった分全てを。


「倉田がいなかったら、きっと私悠真と結婚することなんてできなかった」

「まだ結婚してねぇだろ」

「それから、今回も倉田のおかげでここまでやってくことができた」

「なんだよ。もうなんもおごんねぇぞ」

「ありがとう」


素直にお礼を言うと、倉田は少し驚いたような表情で固まってしまった。何か失礼なことでも言ったのだろうか、と私がとまどっていると、倉田は苦笑して煙草の火を消した。


「どういたしまして」