本来祝われるはずの男は、自分で誕生日会を企画し、自分で食料を買ってきたらしい。


「俺はちゃんとメール送っただろ?」


イカにしょうゆをつけながら悠真は言う。その間、倉田はネギトロを頬張っていた。


「おう。お前には感謝してるよ」


結局ほとんどの寿司を食べたのは買ってきた倉田本人だった。他の人はいきなりだったため、お腹をすかせておかなかったのだ。


「あの、先生の家にゲームとかってないんですか?」

康樹君が訊ねると、あるよと答えて悠真はテレビの下を探り出す。


「やっぱ誕生日会っていったらみんなでゲームじゃないですか?」

「おー!いいな、やるか!」


倉田が張り切ってテレビの前に陣取る。悠真と私も顔を見合わせて苦笑した。