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ついにこのときが来てしまった。緊張しながら待ち合わせ場所に来ていた私は、もう少し遅く来ても良かったと少しだけ後悔していた。


寒いクリスマス。私は奈美と待ち合わせをしていた。向かう場所は映画館だ。


「見たい映画があるの」


そう言った彼女はとても嬉しそうだった。




「湯澤君!」


約束の時間5分前に奈美は現れた。クリスマスによく似合う白いコートが彼女にはよく似合っていた。


「よし。じゃぁ行こっか」

「うん」


奈美は本当に嬉しそうだ。


歩きながら2人はとりとめのない会話をする。


「見たい映画ってなんなの?」

「えっとね……湯澤君、興味ないかもしんないけど」


すごく恋愛!だと思ってしまう映画だろうと思っていたが、奈美が口にしたのは今話題になっている洋画だった。私も見てみたいと思っていた。


「いいね。見たい」


素直にそう言った後の奈美の嬉しそうな顔を見てなんとなくわかった。きっと男の子でも気軽に見れる映画を選んでくれたのかもしれないと……