そして翌日、クリスマスイブになった。去年は悠真と過ごしていたことを思い出し、私は少しだけ悲しくなってきた。
だけど、どこかに出かける気にもならず、家でごろごろ過ごそうと思っていたときだ。
「橙子ちゃん。お友達が来てるわよ」
康樹君の母の言葉に玄関まで行くと、そこには竹山奈美の姿があった。
この間の一件以来まともに会話していなかった。
「ごめんね。突然来ちゃって……市川先生に住所教えてもらったの」
「そ、そうなんだ。どうしたの?」
奈美はすごく言いにくそうにしている。できるならそのまま何も言ってほしくなかった。
「明日もしよかったら一緒に遊びに行かない?」
さすがに迷った。頭の中でいろいろなものと格闘し、ようやく答えは決まった。
「うん。いいよ」
「ほんとっ?やったぁ!嬉しい」
こんなに嬉しそうにされたら断ることなんてできない。
どこで待ち合わせるか簡単に話し合ったところで奈美は帰っていった。わざわざ住所まで聞いてここまで来てくれたことから本気で康樹君のことが好きなのだろう。
そういうのは悪くない。好きになってもらえるのは嬉しいことだ。
まずい……なんか流されてる自分がいるなぁ。