その声にはっとして振り返ると、チャラそうな男がきょとんとした表情で立っていた。倉田だ。


「倉田……私もしかしたらここで事故ったのかもしれない」

「は?」

「だってここに血の跡があるの。私と康樹君のものかも」



しばらく倉田は何も言わなかった。ただ血の跡を黙って見ている。


「そうだとしたらお前らは事故った拍子に入れ替わったってことになるな」

「絶対そうだ!ねぇお願いがあるんだけど、ここで事故がなかったか悠真に訊いてみてくれない!?」

「いいけど、一応湯澤にも確認してみろよ」


私は頷いて駆け出した。

微かな希望が見えてきた気がしてきた。思い出せば何かわかるかもしれないと期待していたからだ。