私は心臓が飛び出すかと思うほど緊張していた。目の前に悠真がいて、康樹君(私の本体)をじっと見ているからだ。
やばいやばいやばい……これ絶対バレたよ!
しかし、悠真はしばらく康樹君を見た後、私へと視線を向けてきた。
「……湯澤くん、何かあったの?」
「え……いや、ただ知り合いが遊びに来ただけというか……」
もごもごと答える間に、康樹君はダッシュで逃げ出した。それを見て私はほっとしたが、なんと悠真はその後を追おうとしたのだ。
「先生!」
思わず呼び止めると、悠真の体は止まった。その間に康樹君が走り去るのを見て、悠真は追いかけるのを諦めたらしい。
だけど明らかにその表情は何かを考え込んでいる様子だった。