一通りの教室を案内してもらい、大体の位置を覚えたところに、知らない女子生徒が現れた。彼女はまっすぐに悠真に向かってくる。


「市川先生!私と結婚してください!」


私は鼻から牛乳が出るような錯覚を覚えた。

はぁぁ!?なに今の……錯覚?


対する悠真は困ったように笑っているだけだ。


「先生優しいからまた騙されちゃうよ!私が守ってあげる!」


騙されるってひょっとして私が?そんなことするかぁぁぁ!!


「私本気なんだから!」

「ありがとう」


悠真の出した言葉に私は唖然とし、女子生徒は嬉しそうに微笑んだ。


そして、

「約束ね!」と言い残して、足取り軽やかに去っていった。