確認するように訊ねると男は少しだけ困ったような顔をした。

もう私はその人物の正体を知っている。婚約者の親友、倉田雄斗だ。


「倉田……?どうしたの?」


「あのな、よく聞け。お前は今……男だ」


一瞬何を言われているのかわからなかった。

何言ってるんだろ、倉田のヤツ。もしかして自分のことが好きで気を引いているのかもしれないと思い始めたとき、倉田は私の目の前にどんっと大きな鏡を出してきた。


「これが証拠だ」

鏡には、中学生くらいの男の子が映っていた。

私はしばらく少年と目を合わせながら、ゆっくりと右手を上げてみた。すると鏡の中の少年も同じように手を上げている。

それからすばやく動いてみたが、やっぱり鏡の少年も同じ行動をした。


「はぁっ!?どういうこと!?」

「見たままだろ。お前は男に性別チェンジした。以上」

「以上じゃないよ!ちゃんと説明してよ!倉田!」

信じられなくて、目の前の倉田に向かって怒鳴りつける。


「俺だってよくわかんねぇよ。ただ1ヶ月前、悠真から連絡があってお前が行方不明になったことを知ったんだ。で、なんでかお前が中学生くらいの男になった変な夢ばっかみたから、おかしいと思って夢で見たこの場所まで来たらお前が寝てたんだよ。俺の見た夢と同じカッコでな」